
2025.02.21対談
菊地選手×田城選手
ベテラン選手対談
菊地選手×田城選手
ベテラン選手対談
菊地選手×田城選手
ベテラン選手対談
菊地選手×田城選手
ベテラン選手対談
取材日 : 2025.1
キャリアを重ねた二人が語る、
チームと自分のいま

菊地祥平選手

田城貴之選手
今回の対談は、プロ12シーズン目を
迎えるアルバルク東京の菊地祥平
(きくち しょうへい)選手と、
プロ13年目となるヴォレアス北海道の
田城貴之(たしろ たかゆき)選手です。
積み重ねてきたキャリアはいま、
どのように活かされているのでしょうか?チームでの役割も交えながら、
ベテラン選手ならではのお話をたくさん語っていただきました!
ZOOMで対談しました!

長いキャリアにおける分岐点
これまでに心に残る出会いはありますか?
菊地選手:僕はアルバルク在籍歴が一番長い選手で、合計で9年になります。印象に残っているのは、2013年に入団したときのヘッドコーチ(ドナルド・ベックHC)です。僕にとって初めての外国人HCだったのですが、オブラートに包んで話すことはせず個々の役割をはっきりと伝えてくれました。おかげで「自分がいま何をすべきか」が明確になり、チームでの役割や価値観をすごく認識するようになりました。その結果、その後に2シーズン連続優勝というとても大きな成果を得て、アルバルクは自分のバスケット人生でかけがえのないチームになりました。

田城選手:私には2つの出会いがありました。ひとつは大学進学で悩んでいるときに電話をくださった筑波大学の先生です。「君は主流と傍流(ぼうりゅう)どちらの道を歩むのか?考えて挑戦しなさい」と言われて、バレーボールの名門である筑波大学に入学したことで、最終的にパナソニックパンサーズ(現
大阪ブルテオン)に入団することができました。
もうひとつはヴォレアスを立ち上げるときに、(後に社長になる)池田憲士郎さんに「一緒にやらないか」と声をかけてもらったことです。当時はパナソニックの正社員待遇だったので、引退後のキャリアもある程度見えていたのですが、「不完全燃焼で終わるよりは挑戦してみよう」と契約しました。どちらも決断して良かったです。
菊地選手:じゃあ、田城選手はヴォレアスを最初から知っているんですね。チームはずいぶん変わりました?
田城選手:3部、2部、1部とリーグを駆け上がり、求められるプレーレベルはかなり高くなったと感じています。最初は施設も十分ではなかったんですよ。ウェイトとボールでトレーニングする体育館が分かれていて、雪が降るなか車で30分移動していました(笑)。
ベテランならではのコミュニケーションの醸成
チームのなかで、どのようにこれまでの経験が活きていますか?
菊地選手:アルバルクはトップレベルの選手ばかりですが、まだ選手歴の浅いメンバーも多く、日々の練習では心身面の変化が必ずあります。そのムラを減らすというか、練習のスタンダードレベルを上げるために、今やらなきゃいけないことやチームに貢献できることを個人個人に伝えています。
田城選手:そこではコミュニケーションが必要ですよね。
菊地選手:その通りです。ですから、僕はオンコート・オフコート関係なくコミュニケーションを取るように心掛けています。バスケとは関係ないところで時間を共有していくと、「この選手の今日のコンディションでは、こういうアプローチをしよう」というのが見えてくるんです。僕にとって、より長い時間チームメイトといることはすごく大事です。

田城選手:ヴォレアスは3、4年前からプロ意識の高い若手選手が増えて、みんながキャプテンできるくらいすごく自立したチームに育っています。なので「年上だから引っ張ろう」というのではなく、調子の悪いときに上手く立ち直れない選手を支えるような、受け皿的なサポートをしています。
私の場合、「なんでこういう風にしてるんだろう」と想像力を働かせて、選手たちにどんどん質問するようにしています。そして、参考になるなと思ったら何でも取り入れて、「あのやり方すごく良かったよ」とフィードバックします。すると距離が縮まってプライベートの話もするようになるので、相手に興味を持っていっぱい質問することは大切ですね。
プラスアルファの強みを持つ。そして変化を恐れない
選手を長く続けていくために、何が大切だと考えますか?
菊地選手:僕は良い意味で「人と被らない役割を見つけること」だと思います。バスケのポジションは5つしかないので、「プラスアルファの強み」を持ってバスケIQを高めることが、1年でも2年でも長くプレーすることにつながると考えます。
田城選手:私は「自分が変化することを恐れない」です。監督のオーダーを汲み取って、サーブの種類やアタックのテンポを変えたりしますが、新しくスキルをつくり直すのには勇気がいります。それでも変化を怖がらずに楽しんでやることが大事です。
また、年齢を重ねればフィジカル的に減っていくものがありますので、そこはトレーニングで抑制します。逆に、ゲーム中に相手の戦術に早く気付くなど、経験で伸ばせる部分は伸ばしていきます。「人事を尽くして天命を待つ」といった感じです(笑)。

菊地選手:僕も「ウェイトなど準備は誰よりもやらなくては!」と思いながら取り組んでいます。怪我するギリギリぐらいまで体を追い込みますね。
ところで、僕の両親はバレーをやっていたんですよ。だから小学生のときはバスケとバレーを掛け持ちしていました。
田城選手:そうなんですか?!
菊地選手:はい(笑)。バレーにはバスケのようなコンタクト(接触)はありませんが、すごく展開が速いですよね。なので、平均的に何歳ぐらいまで現役でできるものなのか気になっています。
田城選手:セッターやリベロなどのポジションは比較的選手寿命が長くて、30代後半のプレーヤーも一定数います。でも、アタッカーは1試合で100回、200回とフルジャンプするので、膝や腰、肩がすり減って30代前半で引退する選手が多いですね。
菊地選手:なるほど。バスケも同じですね。スピードが求められるポイントガードやシューティングガードよりも、リングに近いセンターの方が、長く選手を続けられる傾向にあると思います。
田城選手:ただ、世界の一線で活躍している選手には30代後半のアタッカーもいるんですよ。ジュニア世代の練習量に違いがあるそうで、海外ではスポーツ障害などを見越して、無理のない長期のジュニア育成プランを立てているそうです。
しかし、菊地選手は最終的にバスケの道を選ばれたんですね(笑)。
菊地選手:ええ、兄が二人ともバスケをはじめちゃったので、僕も自然と中学からバスケになりました。多分両親はバレーをやって欲しかったんだと思います(笑)。
それぞれの「勝ち」を掴みにいく!
リーグ戦後半に向けたチームの課題とご自身の役割は?
田城選手:ヴォレアスはチームとして成長していて、昨シーズンよりも点数やセットを取っています。しかし、ゲームの局面においてプレーへの集中力や精度の差が出てしまい、勝利には結びついていません。試合中に細かいところを修正できれば、いま紙一重のところにある勝利を掴みにいけると思っています。そのためにも、自分が試合中にいち早くディテールに気付かなくてはなりません。
菊地選手:アルバルクは、成績こそそんなに悪くはありませんが、決して満足できる状態ではありません。良いときはすごく良い、悪いときはすごく悪いという「0か100」の状態が続いているので、残りのシーズンで成長していかなければなりません。悪いときにしっかり言わなくてはいけない存在だと思っているので、そういった意味で自分の後半戦の役割はすごく明確です。いま悪いときのレベルを0とすれば、それを30、50、70と上げていけば優勝できると本当に思っています。

最後にメッセージをお願いします!
田城選手:スポーツを観戦していると鳥肌が立つ瞬間や、ワーっと興奮する瞬間があると思います。ヴォレアスにとって、プレーオフ進出や優勝争いは現実的にまだハードルが高いかもしれません。でも、すぐには難しくてもひとつずつ階段を登るようにシーズンを重ね、少しでも多くの感動シーンを北海道からつくっていきます。みなさんのエネルギーになれるのがスポーツの力です。そのためにできることをすべてやってきますので、どうぞ応援してください!
菊地選手:自分がアルバルクに戻ってきた意味をよく考えて、それをチームに還元すれば必ず優勝できると思っています。ぜひ会場に来て応援してください。今年の6月、みなさんと一緒に喜ぶ光景を僕はもう一度見たい!そのためにもぜひ、また力を貸していただきたいと思います!
みなさんへの
メッセージをいただきました!

菊地祥平選手
ポジション:スモールフォワード/背番号:13/身長:191cm
1984年山形県生まれ。Bリーグ連覇メンバーが2季振りにアルバルクへ帰還!強靭なフィジカルを活かしたディフェンスなど自己犠牲を厭わず自らの役割を全うするチームプレーヤー。
勝利へのメンタリティを注入し、ともに再び頂点をめざす!

田城貴之選手
ポジション:ミドルブロッカー/背番号:3/身長:192cm
1992年北海道生まれ。道内の強豪校であるとわの森三愛高校を経て筑波大学へ入学。その後はパナソニックパンサーズ(現
大阪ブルテオン)へ入団。2017年に地元北海道のチームであるヴォレアス北海道へ移籍し、V2・V1昇格に貢献した。ミドルブロッカーとして粘り強いブロック、速さとパワーのあるクイックが武器。また、ベテラン選手としてどんな役割でもチームのために率先して動ける「兄貴」的存在。